のぼりと跡継ぎ2
実は、私たち夫婦には子供います。
既に成人しているのですが、ある事でもめてしまい、家を出ていってしまったのです。
そのもめた原因が店の事であります。
元々、息子にのぼり業者の跡を継がせるつもりだったのですが、息子のやりかたは徹底的なコストダウンを計って利鞘を大きくするというものだったのです。
確かにそのやり方ならば儲けが増えるでしょうが、お客様に提供するのぼりの質は下がってしまいます。
それを嫌った私と主人は息子のやり方をするならば跡を継がせない方針をとったのです。
しかし、この様な状況になってしまえば背に腹は代えられません。
息子に連絡をとり、経営を任せることになりました。
私は今まで通りにデザインを担当していたのですが、それにも口をだすようになってきたのです。
ついには、自分の彼女にデザインを任せるようになり、私は実質仕事が無くなってしまいました。
私たち夫婦が大事に続けてきたのぼり業者が息子の金儲けの道具になってしまったのです。
始めは調子よく売上は伸びているように見えました。
ですが、コストダウンを考えるあまりに質を考えなくなってしまったのでしょう。
徐々に客は減ってきてしまったのです。
本当は、私たち夫婦はつつましく暮らしていくだけの資金はあります。
ただ、息子に地に足の着いた商売を行って欲しいとのぼり業者を残すために仕事を続けてきたのです。
このままでは私たちの店は潰れることでしょう。
私たちの息子は店は継ぐことができても志は継ぐことが出来なかったようです。